社会保険の基礎知識を知る「パート看護師は扶養から外れる方が得なのか」

扶養から外れるのは悪いことではない

扶養から外れることでデメリットが生じるため、パートで働く場合は扶養内におさまるように年収を130万円未満に調整している人も多いのではないでしょうか。しかし、扶養から外れることで得られるメリットもたくさんあるため、扶養外だからといって必ずしも損をするわけではありません。
扶養から外れることで社会保険料などの支払いが発生しますが、収入自体は増えるので経済的にも楽になるはずです。もっとゆとりのある生活がしたいのであれば、扶養から外れて世帯収入を増やしましょう。また、扶養控除に入っている人には国民年金の受給資格しか与えられていません。しかし、扶養から外れて厚生年金に加入すると、その分の年金受給額が増えるため老後も安心です。
さらに、扶養から外れても年収が201万6,000円未満なら「配偶者特別控除」が受けられます。妻の所得に応じて夫の所得から3万円～38万円が控除されて所得税や住民税が少なくなります。

扶養から外れる手続き【夫が行う手続き】

扶養から外れる手続きのほとんどは夫の勤務先を通じて行われます。
まずは夫の勤務先から交付されている「健康保険証」を返却します。夫の勤務先に扶養から外れる旨を伝えると「健康保険被扶養届」が配布されます。それを記入し、健康保険証と一緒に提出することで扶養から外れる意思が伝わります。
次に厚生年金の手続きです。扶養内の場合は第3号被保険者という立場だったので夫が加入している厚生年金組合が一括で支払ってくれていました。しかし、扶養を外れるということは第3号被保険者の立場を卒業し、自分で厚生年金を支払うということです。被扶養配偶者非該当届を提出して、第3号からの変更手続きを忘れずに行いましょう。
最後は「資格損失証明書」の受け取りです。この書類は社会保険の扶養から外れた日を証明するものです。夫の勤務先で発行してもらえますが、国民年金や国民健康保険に加入する際に必要不可欠な書類ですので、必ず発行してもらいましょう。また、年末に行われる年末調整でも、扶養控除申告書の欄に名前を書く必要がなくなります。間違って記入しないように注意しましょう。

扶養から外れる手続き【妻が行う手続き】

勤務先の社会保険に加入するのであれば、求められた書類を提出するだけです。ただし、従業員が少ない小さなクリニックの場合は社会保険に加入できなかいこともあります。その場合は自分で国民年金や国民健康保険に加入しなければなりません。扶養を外れて2週間以内に市役所などで手続きをしなければなりません。